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PRISTINE friend 内田 啓子さん Vol.2

内田 啓子 さん
欧州と日本の文化、それぞれの美を発信し東と西の文化の架け橋となるための活動を行う。Nishura Ltd. 代表(https://www.nishura.com/)

ロンドンの秘密の庭

イギリスの素敵な庭はどこも車で行かないと不便なところにあり、私がロンドンに旅行で来ていた20年前には、庭廻りはタクシーを乗り継いで行っていました。みなさんが次にロンドンにいらっしゃる際には、私のロンドンの秘密の庭であり、ロンドン市内から地下鉄で簡単に訪問できるFenton House and gardenをお勧めしたいと思います。Fenton House and gardenでは瀟洒なロンドンの邸宅とガーデンが開放されていて現在はUKの非営利の団体National Trust に管理されています。

ナショナル・トラスト施設の「Fenton House and garden」

National Trustは1895年に景観を守る、自然や生態系を守るため、開発業者らに土地が切り売りされ自由に開発されないように、建物や自然を守ることが目的で創設されました。一般市民から会員費を募り、この費用で景観を守りたい、荒廃を防ぎたいエリアを買い取ったり、個人では管理しきれない大きな邸宅は持ち主から譲り受けて組織的に管理し、美しいガーデンや邸宅、公園、森林を一般に公開しています。メンバーは年会費を払えば何度もNational Trust の管理する場(UK内の500箇所以上)へ訪問できますし、旅行者も入場料を払えばどこにでもアクセス可能です。景観を保ちながら、一般の人々もこの美景を楽しめる素敵な取り組みです。余談ですが、「京都の町屋が取り壊されて開発業者によってマンションになってしまう」という記事を読むたびに日本にもNational Trustのような団体があって貴重な京都の美が保存され、人々に公開されればと思います。

モダンなスタイルでありつつも、自然の中でほっとできる空間

さて、このFenton House and gardenの邸宅は17世紀に建てられ、National Trustの前の持ち主であるLady Binning の好みのエレガントで女性的なデコレーションやマイセンなどのポーセリンのコレクションが今も残され、公開されています。1999年公開 の映画Mansfield Parkの撮影でもこのガーデンが使われたのでこの映画をご覧になる機会があれば、Fenton Houseのガーデン探しももう一つの楽しみになるかもしれません。
Fenton House のガーデンはロンドンのガーデンなのでこじんまりとしているのですが、りんごの木の下にメドウが埋め尽くされ、アリウムなどを中心にシンプルな都市部で好まれるモダンなスタイルを取りながら、自然の中でほっとできるイングリッシュガーデンらしい空間を作っています。

植物たちから力をもらう毎日です

ロックダウン生活で今まで以上に自然やガーデン、植物や土との関わりを持ちたいと思われた方も多いのではないでしょうか?私もNotting Hill界隈のフラット暮らしでガーデンのない生活ですが、ガーデンでのんびり紅茶を飲みながら読書したり、お食事したいなぁと思いながらこの記事を書いています。
今年は毎年ロンドンで行われるChelsea flower showも中止となり、今週あるはずであったチェルシーの番組のかわりにガーデンデザイナーの自庭を紹介する特別番組が毎日放送されています。毎年見る華麗なショーガーデンも美しいのですが、デザイナーの自庭のほうが落ち着いていて私の好みに近く、私の夢のガーデンの参考にしています。
ロックダウン生活の中でも窓辺のコンテナの薔薇やハーブたちはたくましく育ってきて、朝目覚めるたびに窓辺の植物たちから力をもらう毎日です。

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プロフィール

内田 啓子 さん
欧州と日本の文化、それぞれの美を発信し東と西の文化の架け橋となるための活動を行う。Nishura Ltd. 代表(https://www.nishura.com/)
欧州リテイルマーケット向けバイヤー、マーチャンダイザーとして、買い付け及び売り上げ分析に従事。2012年よりロンドンをベースにインターナショナルマーケティング戦略コンサルタントとして独立。欧州での豊富なネットワークを駆使して日本のライフスタイルブランドの欧州進出のコンサルタントとして、マーケティング戦略、実践をサポート。