PRISTINE friend 内田 啓子さん Vol.8

世界中がCovid-19の影響で揺れ、旅行どころか外出もままならない昨今、せめて次の旅行に向けて心の旅のお供ができれば、とこの場をお借りして私がこの２０年住む英国の美しいガーデン、カントリーハウス、文学などを連載形式でご紹介しております。ロンドンはすでに初冬を迎えていて暖房とロングコートが欠かせない季節に入りました。10月末になるとサマータイムも終わり、暗い時間帯が1日の3分の２を占めることになります。この頃になると読書の時間も長くなり読む本のチョイスも増えていきます。今年はCovid-19の影響で通勤時間が短縮されたり外食の回数が減るなど、今まで以上に自分の時間を持てる方も多いと思います。最終回である今回はお勧めしたいイギリスの文学をご紹介します。秋の夜長に、また冬の柔らかな日差しを浴びながら、読書の時間をお楽しみ下さい。

まずは私の大好きな英国人作家デュモーリエの作品から。レベッカはクラシックの名作でストーリー運びがうまく、読み終わってこの作家の他の作品も読みたいと思わせる作品です。デュモーリエの代表作のレベッカ、レイチェルの他、翻訳が出ているのかわかりませんが、Frenchman’s Creekもロマンチックで読んでいて恋をしたくなる作品です。彼女の作品は南西イングランドのコーンウォールが舞台であることが多く、読んでいると海辺のノスタルジックなコーンウォールの風景が浮かびます。デュモーリエファンになられたら、いつの日かコーンウォールへ旅行にいらして下さい。緑と海に囲まれ、アーティストの多く住む魅力的なカントリーです。

英国を代表する１９世期の大作家であるディケンズの作品は困難な状況で生きる貧しい子供達に向けられたディケンズの「この子供たちのためになんとかしなければ」という温かく力強い目が作品に向けられ、人気作家であるディケンズが小説を使って子供の貧困問題を社会問題に発展させていく、という使命を持って書かれています。英国が伝統的に格差社会、クラス社会であることを思い知らされる、かつ読後満足感のある作品たちです。別の作家さんでぜひお読みいただきたい、おすすめの本をご紹介します。

Thomas Hardy
Far from the Madding Crowd , Tess of the d’Urbervilles
ハーディ作品は冬に読みたくなる、独特の人間の闇や暗さが秋から冬の夜長の読書タイムに合っているかもしれません。

Nancy Mitford
The Pursuit of Love, Love in the Cold Climate
恋、愛、ファッション、ゴシップ、パーティが英国の上流階級の生活を舞台に描かれます。とてもおしゃれな作品で、作家の自伝的要素を持った先品です。日本語翻訳版がでていないのかもしれませんが、長編ではないので英語の勉強も兼ねて英語で読んでみてはいかがでしょうか？

私は読書とともにお茶が大好きで、本とマグとブランケットをセットにして読書しています。11月から3月末のサマータイムの開始まで英国では冬眠というか、家で過ごす時間が増えます。私はいつかカントリーに家を購入したいと思っていて、この家で冬の間は暖炉の前で心ゆくまで読書を楽しみたいと思っています。それまでは、ロンドンのフラットでたくさんの本を読み１８世期や１９世期を旅しながら想像力、創造力を広げていきたいと思います。