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ヤクフェイクファーコートができるまで

vol.63
63回目は、2023年秋冬コレクションの新作シリーズ「ヤクフェイクファーコート」ができるまでを取材しました。

すべてのものには生まれてきたストーリーがあります。
みなさまの手元に届くまでに辿ってきたものづくりの様子を、少し覗いてみませんか。
  • 【ヤクフェイクファーとは】

    淡く優しい、ヤクコットンのグレーカラー。あたたかくて、ふんわり柔らかな肌触り。
    秋冬に人気のファーシリーズから、表側にはヤクコットンフェイクファー生地、内側にはオリジナルのキルティング生地を使ったファーコート・ベストが登場しました。
  • 【ヤクフェイクファーはパイルの産地・高野口地区で】

    訪れたのは和歌山県の紀ノ川のほとり、高野山の入口にあたる高野口地区。

    地域には昔から織編み物屋、加工屋が集まっており、古くから続くパイル生地の産地となりました。
  • 【生地の編み立ては、和歌山県にある松岡織物さん】

    はじめに松岡織物さんで生地を編みます。
  • 松岡織物さんは、今回取材するヤクフェイクファーの他にも、日本でもこの和歌山県高野口地区だけで作られている「市松シリーズ」のシール織や、ウールとコットンの天然繊維100%で作る「リアルフリース」の生地を手掛けている工場です。

    ▼一覧よりこちらの記事でもご覧いただけます。
    vol.32 市松・ブラウンチェックシリーズのシール織ができるまで
    vol.43 リアルフリースの生地ができるまで
  • 【ヤクフェイクファーは丸編み機で】

    ぐるりと回る丸編機。パイル状に編み進めながら、編んでいる針についた小さなカッターで、パイルをカットしています。

    一つの編み機が、何役も仕事をこなしながら、パイル生地が編み立てられてゆきます。
  • 【生地を洗う】

    編み上がった生地は、木下染工場へ移動し洗いの工程へ。

    ぐるぐるとしなやかに回しながら、生地を洗う機械。ヤクフェイクファーは、冷水と60度のお湯で何度も洗いを繰り返します。
  • 時間をかけてしっかり洗うと、生地のアクが取れて風合いが良くなります。
  • 【木造の工場にも意味がある】

    木下染工場さんは廃校になった木造校舎を移設して工場をはじめました。高温のお湯を使うため、熱気がこもらないことも利点です。

    洗い上がった生地は続いての工程に向かいます。
  • 【生地を整える】

    アオイ整染工業所で、ふわふわのファーの状態に整えます。
  • 毛割という工程で、生地表面に出ている糸を解撚し、糸の撚りを開いてファーの毛質に仕上げたあと、その毛先をカッターで均一にカットして整えるシャーリングを行います。
  • 目指す風合いによって、使う針や機械を変えて調整していきます。
    どの長さ、どの種類の針を使うか、何回針を通すのかは、
    熟練の技と勘が頼りです。
  • こうしてカットしてパイルになった生地の表面が均一になることで、天然繊維のフェイクファーに、優しい艶が生まれ、上質で気持ちの良い風合いになります。
  • ここまで表地のファー素材を紹介しましたが、ヤクフェイクファーコートは、もうひとつこだわりの生地を使っています。
    それは内側に使用している、オリジナルのキルティング。
  • 場所は変わり、群馬県へ。
    キルティングを手がけるのは、生地商社丸幸さんの協力工場、加藤キルティングさん。
  • 【プリスティン仕様のキルティング生地】

    キルティングは、表地と中綿を重ねてステッチで縫い止めて作る生地。

    今回プリスティンのベストに使用したキルティングは、肌側には柔らかなビエラの生地、
    中綿にはノンミュールジングウールを重ね、羊に優しく、そしてふっくらとあたたかく仕上げました。
    (コートの肌側生地は平織りとなります。)
  • ※ノンミュールジングウールとは
    羊に苦痛をあたえるミュールジングをせずに、自然なままに飼育された羊から刈り取ったウールのこと。
    羊を快適な環境下で育てていく、アニマルウェルフェアを考えた素材です。
    プリスティンでは、動物愛護に加え安全性・信頼性にもこだわり、
    「だれが、どこで、どのようにして」つくったのか、
    トレーサビリティが明確なノンミュールジング・ウールを使用しています。
  • また、キルティングの裏地には一般的にはポリエステルの不織布を当てるのですが、プリスティンはノープラスチックを目指してものづくりをしているため、コットンの生地にしています。
  • 【キルティングならではの機械】

    大きな機械に吸い込まれていく表地と中綿。
    その先でせっせと動く16本のステッチ針に上から縫い糸がつながっています。

    なんとこのキルティングの柄は縫い針ではなく生地の反物自体が左右に動きながらステッチを進めてゆくのです。
  • ステッチの柄は、生地を左右に動かすこのデザインカムという部品によって変化させます。
  • 【キルトを初めて50年、難しいことはほとんどない】
    加藤社長は昭和40年二十歳の時にキルトを初めてから50年以上の職人。プリスティンのキルティングも、難なく仕上げます。

    「自分よりも機械」という加藤社長は、生地のテンションを守り、ずらさないためにも、反物をかけたら付きっきりで見て、最後までかけ切ってから一日を終えます。毎日の機械の手入れも欠かしません。

    だからこそ近所の工場から機械の修理を頼まれたり、機械のメーカーさんからも質問が来るほど、機械を熟知しています。
  • 【プリスティンの生地で驚いたこと】

    加藤社長はプリスティンの生地で、驚いたことがあるそうです。

    普段はポリエステルやナイロンなど化学繊維を扱うことが多く、機械に巻きつけたりする際に青い火花が出たり、体に静電気がたまって髪の毛が逆立つこともあるそうですが、プリスティンの生地は静電気が起きなかったので驚いたと話されていました。
  • 来る日も来る日も機械に付きっきりで面倒を見て機械を熟知しているからこそ、難なりと生地を仕上げることができる。
    良い生地は熟練の技なしに作れないことを目の当たりにしました。
  • いかがでしたでしょうか。

    こうして日本の職人の技を繋ぎ作られるヤクフェイクファーシリーズ。

    ぜひ今年の冬は、ふっくら上質、柔らかな風合いとヤク、コットン、ウールのあたたかさをお楽しみください。
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