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カラミフラワー刺繍の生地ができるまで

vol.60
60回目は、カラミフラワー刺繍の生地ができるまで、を取材しました。

すべてのモノには生まれてきたストーリーがあります。
商品を手にとるお客様へ、そのストーリーを少しずつでもお伝えできればと思います。
  • この生地は、たて糸によこ糸を絡ませるようにしてメッシュを作る絡み(カラミ)織をベースに、オーガニックコットンの白糸で小さな花の刺繍を施しています。
    生成と白のやさしい色合いとやわらかな透け感、刺繍のない部分をあえて残した、余白が美しい素材です。
    この刺繍がどのようにできているのか、早速見てみましょう!
  • 石川県金沢市の金沢駅から徒歩20分ほどの住宅街にある、神奈川レースの協力工場、坂本レース株式会社さんにお邪魔しました。
    坂本社長ご夫妻が取材にお付き合いくださいました。
  • 坂本レースは創業73年の金沢市で唯一のエンブロイダリーレース工場。中に入ると大きな刺繍機がガシャンガシャンと音を鳴らしながら迎えてくれました。
    創業時は織物工場(機屋)として稼働していたそうですが、途中から織物だけではなく違うことをしなくては、という想いで刺繍機を購入。1972年レース専業工場に切り替わるタイミングで現在の土地にお引越しされたそうです。
  • 使用されている機械は神奈川レースさんと同じメーカー「HIRAOKA」のもの。
    機械の刺繍できる長さは13.7m。15mほどにカットされた反物が横にピンと張られて上下2段に並ぶのは神奈川レースさんと同じです。ただ違う点もありました。
    神奈川レースさんでは100cm幅の刺繍をしたい場合100cm分の生地をピンと張って刺繍するのですが、坂本レースさんは半分の幅でピンと張り、途中で巻き上げ作業をして100cmに仕上げます。
    この写真は前半の刺繍がちょうど終わるころです。
    刺繍機は針が固定されており、ピンと張った状態の生地が機械の力で上に登っていきます。前半の刺繍が終わると、機械が自動で止まり、アラームを鳴らしてくれます。
  • すると社長が登場。刺し途中の針は生地に刺さったまま、上の方に出来上がった刺繍の生地を巻き取りながら棒を下げ、待機している下の棒に巻かれた生地を広げてピンと張り直します。
    針が生地に刺さっているので、大きくズレることはないのですが、生地が柔らかいので、前後でテンションの差がでないように人間の調整の技が必要です。
    この作業はとても難しく、社長にしかできないのだとか。大変な巻き上げ作業をしてでも、小さい幅で刺繍した方が、テンションが均一になるからきれいになると思うよ。と坂本社長は巻き上げをして美しく仕上げることにこだわります。
    「わたしゃ絶対ズラさんよ」とおっしゃる坂本社長の職人魂に胸が熱くなりました。
  • 上段、下段ともに巻き上げ作業が完了しました。ピンと張った生地がきれいです。かつては第2工場も近くにあり、新しい機械も持っていたそうですが、時代とともに厳しくなり、新しい機械と工場を手放したそうです。
    あえて古い機械だけを残したのは、古い機械だからこそできる風合いが好きだからだそう。新しい機械はスピードが早く効率は良いのですが、古くて制約も多い機械をメンテナンスしながら作る刺繍の方が楽しいそうです。
    「どうしてか人と違うことを選んでしまうんやなぁ」と笑いながらお話しくださいました。
  • プリスティンは上糸も下糸も綿糸で作ることにこだわっている為、スピードを上げると糸が切れてしまいます。
    ゆっくり刺繍をしてくれるこの機械とは相性抜群。糸のふっくらとした表情は神奈川レースの佐藤さんが作ってくださるパンチング(針の動きの設計)と、この機械があってこそ、なのです。
  • 生地が上下左右に動いて模様ができていく様子は不思議とずっと見ていたくなる光景でした。刺繍機には2インチごとに漢数字が記されています。
    これは先代が全部の機械の表と裏にひとつひとつ手書きしたそうです。丁寧で几帳面な方だったことが伝わってきますね。
  • 事務所に戻ると、ボビンを見せてくださいました。ボビンの中には「繭玉」とよばれる可愛らしい下糸が入っています。ミシンのボビンとは違って、本当に繭のような形。中の方から糸を出すのだそうです。この繭玉を巻く専門の職人さんがいらっしゃることも教えていただきました。見えないところにいろんな職人さんがいらっしゃるのですね。
    ※写真の繭玉はプリスティンのものではなく、一般的に使われる化学繊維の下糸です。
  • そしてもうひとつ、道具を紹介。
    坂本社長が出迎えてくださった時に耳の上にペンのように掛けていたものが気になって「それは何ですか?」とお聞きしたら、このように針に糸を通す時に使う道具だと教えてくださいました。
    先端を近くで見ると針の穴より小さなフックになっていて、びっくり!繊細で美しい道具でした。
    こんな美しく便利な道具があるとはいえ、13.7mの生地、1段520本で合計1040本の針に糸を通すのですから、頭が下がります。
  • 神奈川から離れて金沢で、愛情たっぷりに刺繍してくださったカラミフラワー刺繍。「いい生地ができた」と坂本社長も太鼓判をくださいました。刺繍にかかる手間暇は見えませんが、袖を通すときっとその気持ちよさに、愛情を感じていただけるのではないかと思います。ぜひお試しください。
\ この製品はこの場所でつくられました /
プリスティンの顔が見えるものづくり、原綿から製品までは各地域でつくられています。
  • インド
  • 岐阜県
  • 静岡県
  • 大阪府
  • カラミ刺繍 ノースリーブギャザーワンピース
    カラミ織のメッシュ生地に、オーガニックコットンの白糸で小さな花の刺繍をあしらったギャザーワンピースです。裾には刺繍を入れず、白の刺繍と刺繍のない部分のやさしいコントラストもポイントです。
  • カラミ刺繍 ギャザーブラウス
    カラミ織のメッシュ生地に、オーガニックコットンの白糸でかすみ草の小さな花の刺繍をあしらったギャザーブラウスです。裏地はあえて付けていないので、中に着るインナーでレイヤーを楽しめます。
    裾と袖口には刺繍をいれず、白の刺繍と刺繍のない部分のやさしいコントラストもポイントです。
    衿ぐりのパイピングから伸びる紐が軽やかに揺れるアクセントに。
  • カラミ刺繍 パンツ
    カラミ織のメッシュ生地に、オーガニックコットンの白糸で小さな花の刺繍をあしらったギャザーパンツです。裾には刺繍を入れず、白の刺繍と刺繍のない部分のやさしいコントラストもポイントです。
    安心の裏地付きです。
  • カラミ刺繍 2way
    カラミの素材に小花柄が刺繍された贅沢な素材を使用した2way。
    リボン、衿ぐりや袖口の白パイピングがアクセントになっています。裏地がないので軽やかで風通しの良い1枚です。股下のドットボタンの留め方でワンピース型とパンツ型2タイプの着用が可能です。
  • カラミ刺繍 ワンピース
    カラミの素材に小花柄が刺繍された贅沢な素材を使用したワンピース。
    お宮参りのドレスとしてもおすすめ。ベビーから2歳くらいまで、長くお使い頂けるアイテムです。